忘れずよまた忘れずよ瓦屋の下たくけぶり下むせびつつ

忘れずよまた忘れずよ瓦屋(かはらや)の下たくけぶり下むせびつつ

藤原実方朝臣 – 後拾遺和歌集 707

 

忘れてなどいない。あなたのことを忘れてなどいない。

瓦を焼く小屋の煙にむせぶように、あなたへの変わらない恋心に咽び泣いているのです。

 

※瓦屋(かはらや)が「変わら(ぬ思い)」と掛けられている。

夜もすがら契りしことを忘れずは
恋ひむ涙の色ぞゆかしき

夜もすがら契りしことを忘れずは恋ひむ涙の色ぞゆかしき

藤原定子 – 後拾遺和歌集 536

 

あなたが一晩中契りあったことをお忘れでないのなら、死んだ私を恋しがって泣いてくださるのならば――私は知りたい。あなたの流してくださる、その涙の色を。

かくとだにえやはいぶきのさしも草
さしも知らじな燃ゆる思ひを

かくとだにえやはいぶきのさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを

藤原実方 – 後拾遺和歌集 612 (小倉百人一首 51番)

 

これほどまでにあなたを思っているのに、それを言うことができないのです。あなたはご存知ないでしょう、私の、この燃えるような恋心を。

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