晴るる夜の星か川辺の蛍かもわが住む方に海人のたく火か


晴るる夜の星か川辺の蛍かもわが住む方に海人のたく火か

在原業平朝臣 – 新古今和歌集1589 (伊勢物語 第八十七段)

 

あの光は、晴れた夜の星だろうか、川辺を舞う蛍だろうか。それとも、私の住む芦屋の里で漁師たちが焚く火だろうか。

コメントはまだありません

Sorry, the comment form is closed at this time.

窓近き竹の葉すさぶ風の音に
いとどみじかきうたたねの夢

窓近き竹の葉すさぶ風の音にいとどみじかきうたたねの夢

式子内親王 – 新古今和歌集256

 

窓辺の竹の葉を揺らす風の音で目が覚めた。夏の夜に、ひときわ短いうたた寝の夢だった。

※李白「風の竹に生る夜窓の間に伏せり」(白氏文集、和漢朗詠集151)を本説とする。

忘れずよまた忘れずよ瓦屋の下たくけぶり下むせびつつ

忘れずよまた忘れずよ瓦屋(かはらや)の下たくけぶり下むせびつつ

藤原実方朝臣 – 後拾遺和歌集 707

 

忘れてなどいない。あなたのことを忘れてなどいない。

瓦を焼く小屋の煙にむせぶように、あなたへの変わらない恋心に咽び泣いているのです。

 

※瓦屋(かはらや)が「変わら(ぬ思い)」と掛けられている。

夜もすがら契りしことを忘れずは
恋ひむ涙の色ぞゆかしき

夜もすがら契りしことを忘れずは恋ひむ涙の色ぞゆかしき

藤原定子 – 後拾遺和歌集 536

 

あなたが一晩中契りあったことをお忘れでないのなら、死んだ私を恋しがって泣いてくださるのならば――私は知りたい。あなたの流してくださる、その涙の色を。

Top