風ふけばよそに鳴海のかた思ひ
思はぬ波に鳴く千鳥かな


風ふけばよそに鳴海のかた思ひ思はぬ波に鳴く千鳥かな

藤原秀能 – 新古今和歌集 649

 

風に流され、遠く離れてしまった身となって、鳴海潟を偲びながら、見知らぬ波間で鳴く千鳥よ。

※「よそになる身」、「鳴海の潟」、「片思ひ」がそれぞれ重ねられている。

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窓近き竹の葉すさぶ風の音に
いとどみじかきうたたねの夢

窓近き竹の葉すさぶ風の音にいとどみじかきうたたねの夢

式子内親王 – 新古今和歌集256

 

窓辺の竹の葉を揺らす風の音で目が覚めた。夏の夜に、ひときわ短いうたた寝の夢だった。

※李白「風の竹に生る夜窓の間に伏せり」(白氏文集、和漢朗詠集151)を本説とする。

忘れずよまた忘れずよ瓦屋の下たくけぶり下むせびつつ

忘れずよまた忘れずよ瓦屋(かはらや)の下たくけぶり下むせびつつ

藤原実方朝臣 – 後拾遺和歌集 707

 

忘れてなどいない。あなたのことを忘れてなどいない。

瓦を焼く小屋の煙にむせぶように、あなたへの変わらない恋心に咽び泣いているのです。

 

※瓦屋(かはらや)が「変わら(ぬ思い)」と掛けられている。

夜もすがら契りしことを忘れずは
恋ひむ涙の色ぞゆかしき

夜もすがら契りしことを忘れずは恋ひむ涙の色ぞゆかしき

藤原定子 – 後拾遺和歌集 536

 

あなたが一晩中契りあったことをお忘れでないのなら、死んだ私を恋しがって泣いてくださるのならば――私は知りたい。あなたの流してくださる、その涙の色を。

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