惜しめどもとまらぬ春もあるものを
いはぬにきたる夏衣かな


惜しめどもとまらぬ春もあるものをいはぬにきたる夏衣かな

素性法師 – 新古今和歌集 176

 

行かないでくれと惜しんでも留まってはくれない春があり、来てくれと言いもしないのにやってくる夏がある。しょうがなく衣替えをした。

※「(夏が)来る」と「(夏の衣を)着たる」が掛けられている。

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窓近き竹の葉すさぶ風の音に
いとどみじかきうたたねの夢

窓近き竹の葉すさぶ風の音にいとどみじかきうたたねの夢

式子内親王 – 新古今和歌集256

 

窓辺の竹の葉を揺らす風の音で目が覚めた。夏の夜に、ひときわ短いうたた寝の夢だった。

※李白「風の竹に生る夜窓の間に伏せり」(白氏文集、和漢朗詠集151)を本説とする。

忘れずよまた忘れずよ瓦屋の下たくけぶり下むせびつつ

忘れずよまた忘れずよ瓦屋(かはらや)の下たくけぶり下むせびつつ

藤原実方朝臣 – 後拾遺和歌集 707

 

忘れてなどいない。あなたのことを忘れてなどいない。

瓦を焼く小屋の煙にむせぶように、あなたへの変わらない恋心に咽び泣いているのです。

 

※瓦屋(かはらや)が「変わら(ぬ思い)」と掛けられている。

夜もすがら契りしことを忘れずは
恋ひむ涙の色ぞゆかしき

夜もすがら契りしことを忘れずは恋ひむ涙の色ぞゆかしき

藤原定子 – 後拾遺和歌集 536

 

あなたが一晩中契りあったことをお忘れでないのなら、死んだ私を恋しがって泣いてくださるのならば――私は知りたい。あなたの流してくださる、その涙の色を。

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